多発性硬化症について
多発性硬化症という言葉を目にしたり、聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれませんが、実際にはどのようなものかあまり知られていない病気です。多発性硬化症は英語のMultiple Sclerosisの頭文字を取りMSと呼ばれる難病指定されている病気であり、発生頻度は白人に多く日本では稀な病気と言えます。10万人あたり全国平均でも10人にこの病気が発生しているという報告があります。多発性硬化症の平均発症年齢は30歳前後で、発症率は低いのですが小児や高齢者もこの病気に罹ることがあります。男女別での発症率は女性が男性の3倍となっています。
多発性硬化症の症状と原因
では多発性硬化症では実際にどのような状態になるのでしょうか？脳や脊髄の中枢神経は髄鞘（ミエリン）というカバーのようなもので守られていますが、このカバーに炎症が起こり破れてしまうことで神経がむき出しの状態になってしまいます。この神経がむき出しになる状態は脱髄と呼ばれますが、脱髄によって出来た斑点のようなものが髄鞘にあちこちにできるものです。このむき出しになった神経は信号を伝えにくくなったり、間違えた信号を送ったりと正常に信号を伝えられなくなります、様々な症状が出てくるのです。この状態の再発が繰り返されるのが多発性硬化症です。
症状：視覚障害（視界がぼやける、視野で見えない部分がある、物が2重に見えるなど）
：感覚障害（筋肉がつっぱる、感覚が鈍い・分からなくなる、しびれ、痛みがある、痛みを感じないなど）
：運動障害（飲み込みがうまく出来ない、手や足のつっぱり、手や足が思うように動かせない、ろれつが回らないなど）
：平衡障害・ふるえ（手足や身体が震える、まっすぐ歩けない、動作がスムーズでないなど）
：排尿障害（尿が我慢できず漏らしてしまう、排尿回数は増える、尿が出にくいなど）
：性機能障害（勃起不全、射精できないなど）
：認識・感情の障害（急に場違いな反応をする、思考力や集中力の低下、感情のムラがある）
：疲労感（常に疲労感がある、何もしなくても疲労感が強い）
この病気の原因は現在の時点ではまだ解明されていません、有力な説としては「自己免疫疾患」説があります。自己免疫とは外部から有害な物質が体内に入ってきた際にそれを攻撃して体外に排除するものですが、自己免疫疾患では体内のものを外からの有害な物質と間違え攻撃してしまうのです。そのため自分の体内の免疫が髄鞘を破壊する現象が起こり、多発性硬化症が発生するのではないかと考えられています。また遺伝的要因も関連していますがこれは多発性硬化症になりやすくなるだけで、100％多発性硬化症を発症するという訳ではありません。他にもビタミンDが足りない状態では多発性硬化症が発生ししやすくなること、ヘルペスウイルスによって発症が誘発されるという研究も見られます。
多発性硬化症の治療方法
現代の医療では残念ながら多発性硬化症は完治することのできない病気です、しかし完治には至らなくとも、症状を悪化させない、再発を防ぐことは可能です。治療は症状が出ている急性期と症状は出ていない時期に再発を予防する慢性期に分けられます。どちらもお薬での治療が行われます。
急性期：炎症を抑制する副腎皮質ステロイドホルモンを使用するのが主な治療です。ステロイドを大量に点滴するのが一般的ですが、経口薬の服用が必要な場合もあります。症状が重度でありステロイドで効果が見られない場合には、血漿交換療法が行われることがあります。
慢性期：毎月行う点滴、自己注射、内服薬があります。これは再発を防ぐためのものであり、完治することがない病気であるため継続することが重要です。
神経は一度傷ついてしまうと回復するのが難しいものですので、多発性硬化症でも早期発見、早期治療で治療の効果が高まることが知られています。また定期的な受診と必要な検査を行うことも、この病気には欠かせないことです。
多発性硬化症のリハビリ
リハビリによって多発性硬化症を治療することはできませんが、身体機能の低下を防いだり、日常生活動作（ADL）を維持するためにはとても重要です。リハビリを治療の一貫と捉え、継続的に毎日、または定期的に行うことがとても大切になります。
多発性硬化症の鍼灸マッサージ治療
現代の医療では多発性硬化症にはお薬を使用するのが主流ですが、お薬での治療では限界があるため、鍼灸マッサージ治療などホリスティックな治療を行うことも検討されつつあります。リハビリと併用した鍼灸マッサージ治療で効果が見られたという報告も多々あり、当院の患者様でも疲れにくくなったなど今後多発性硬化症の治療への応用が期待されます。お薬やリハビリで治療が難しい症状や分野を、鍼灸マッサージ治療や漢方薬などの東洋医学でカバーすることも将来的には検討される必要があるように思います。完治するができない難病だからこそ、西洋医学だけでなくホリスティックな包括的な医療を目指すことが求められると考えます。
当院は自宅へ訪問してマッサージ、リハビリ、鍼灸をおこないます
当院では札幌で多発性硬化症や
脳梗塞の後遺症など寝たきり、
歩行困難で困っている方に
少しでも役に立って頂けるよう
お宅に訪問してリハビリやマッサージ鍼灸などで
痛みの緩和、改善などもちろん
患者様１人１人との会話や
コミュ二ケ−ションにも力を入れて治療をおこないます。
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